2002年12月19日(木)12:34

シュレーダー首相はEU深化に向けた改革を求める

ベルリン(AP)

連邦議会の各政党はこぞって新規加盟10ヶ国への欧州連合の拡大という決定を歴史的な一歩として歓迎した。ゲルハルト・シュレーダー首相は木曜日、コペンハーゲン首脳会議について連邦議会で政府演説を行い、今後は統合の深化に向けEU諸機構の改革が必要であると主張した。キリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル党首は、トルコに加盟交渉の早期開始という過大な期待を抱かせてはならないと警告した。

「欧州連合は行動能力と政治的機能を維持する必要がある」。機構改革の計画は今後数ヶ月のドイツの欧州政策における重点課題となる。その際ドイツ政府は引き続きフランスと密接な連携をはかるつもりである、とシュレーダー首相は述べた。

コペンハーゲン首脳会議の決定では、2004年5月にポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴェニア、スロヴァキア、ラトヴィア、リトアニア、エストニア、キプロス、マルタがEU加盟を果たすことになる。シュレーダー首相は、2004年から2006年のEU拡大のコストが1999年にベルリンで合意された財政枠組を下回る409億ユーロに収まったことに満足の意を表明した。首相は一方で拡大がドイツにもたらす経済的恩恵も強調した。

トルコの加盟希望に関してシュレーダー首相は、トルコ政府と加盟交渉が開始されるのは同国が経済的、政治的基準を達成した場合に「限られる」と強調した上で、交渉開始にあたっては「法律だけでトルコの進展を測るのではなく、改革の実践状況に則して厳格に」判断しなくてはならないと述べた。欧州理事会は2004年12月にトルコの加盟交渉開始の準備状況を審査する予定である。

シュレーダー首相は、トルコのEU加盟の可能性を最初から排除すればドイツの欧州政策の継続性が損なわれるとしてキリスト教民主同盟・社会同盟を批判した。政策の継続性が選挙戦術の犠牲にされたのであると首相は述べた。CDUの議員団長をも務めるメルケル党首はこの批判を退け、トルコに「大きな失望に終わるような希望を抱かせ」てはならないと主張した。

シュレーダー首相は、トルコとの加盟交渉開始を強く求めたアメリカ合衆国に宛てて、「われわれが加盟交渉開始の提案を行ったのは、他国の望みに従ったためではない。単にそれがヨーロッパの利益に叶っていたからである」と語った。メルケル党首は政府のイラク政策を引き合いに出して、シュレーダー首相がトルコの加盟を「他の外交上の約束違反の埋め合わせに利用した」として首相を批判した。

欧州政策の基本線についてはすべての党派の演説者が大筋で一致した。したがってEU拡大も大方から政治的経済的チャンスとして理解された。また次のステップとなる統合の深化についても必須のものと受けとめられた。来年憲法草案を発表する欧州将来像会議に対しては大きな期待が寄せられた。どこが欧州の境界となるかというような詳細な問題では意見の相違が見られた。キリスト教民主同盟・社会同盟議員団のペーター・ヒンツェ欧州政策広報官は、限りない膨張でEUが負担過剰に陥ることのないよう警鐘を鳴らした。

原題:Schroeder fordert Reform zur Vertiefung der EU




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